2026-08-17
「103万の壁」はどう変わった?2025年税制改正を副業会社員向けに解説
「103万の壁が160万円になった」という話を見聞きした人も多いと思います。ニュースやSNSでは単純化されて伝わりがちですが、正確には対象者によって数字が異なります。この記事では、2025年12月施行の税制改正の中身と、副業をしている会社員が実務上どこに注意すればいいかを整理します。
「103万円の壁」の正体——基礎控除と給与所得控除が引き上げられた
もともとの「103万円の壁」は、給与所得控除の最低保障額55万円と、基礎控除48万円を足した金額でした。2025年度税制改正で、この2つがそれぞれ引き上げられています。
- 給与所得控除の最低保障額:55万円 → 65万円(恒久的な引き上げ)
- 基礎控除:48万円 → 58万円(恒久的な引き上げ)
この2つを単純に足すと、新しい壁は 58万円+65万円=123万円 になります。まずはこの「123万円」が、改正後の基本形として押さえておきたい数字です。
「160万円」は本当?——学生の壁と会社員本人の壁は別物
では「160万円」はどこから出てきた数字なのでしょうか。これは主に2つの別々の制度が混ざって伝わっているためです。
- 時限的な基礎控除の上乗せ措置:合計所得金額が132万円以下(給与収入ベースで目安200万円以下程度)の人は、2025年分・2026年分に限り基礎控除が95万円になります。これに給与所得控除65万円を足すと160万円になります。ただし、これは令和7年分・8年分限定の時限措置で、恒久的な制度ではありません。
- 特定親族特別控除:19歳以上23歳未満の子(大学生年代)がアルバイトをしている場合、その子の給与収入が150万円までなら親は満額の控除を受けられ、188万円まで段階的に控除が続く制度です。これは「学生の扶養の壁」の話であり、会社員本人の所得税ラインとは別の制度です。
「160万円」という数字は、主に①の時限措置に該当する人の話であり、すべての人に一律で当てはまるわけではない点に注意してください。
副業をしている会社員が見るべきポイント
このサイトの読者の多くは「本業の給与+副業の所得」を持つ会社員だと思います。ここで重要なのは、基礎控除の判定は**本業と副業を合算した「合計所得金額」**で行われるという点です。
本業の年収がある程度高い人(合計所得655万円を超えるくらいのイメージ)は、時限措置の95万円ではなく、恒久部分の58万円までしか基礎控除が上がらない可能性があります。「160万円まで税金がかからない」というのは、主に低〜中所得層向けの話であり、副業をしている会社員全員に当てはまるとは限りません。
なお、副業所得が年20万円以下なら確定申告が不要というルール自体は、今回の改正でも変わっていません。
年末調整・確定申告での実務変化
会社員にとって実務上の変化が大きいのは、年末調整で提出する「給与所得者の基礎控除申告書」です。この様式では、副業などの所得の見積額を記入する欄がこれまで以上に重要になっています。副業所得の見積りを誤ると、基礎控除の適用額そのものがずれてしまう可能性があるため、記入前に副業の年間所得をある程度見積もっておくことをおすすめします。
住民税・配偶者控除はどうなる?
- 住民税の基礎控除:43万円のまま据え置きです(今回の改正は所得税が中心)。ただし給与所得控除の引き上げは住民税にも連動するため、非課税になる年収ラインは目安としてやや上がります(自治体によって基準が異なるため、一律の金額を断定することはできません)。
- 配偶者控除:満額適用される配偶者の年収上限が103万円 → 123万円に。
- 配偶者特別控除:満額(38万円)が適用される年収上限が150万円 → 160万円に。
まとめ
2025年度税制改正で「103万円の壁」は、恒久的には123万円、時限措置の対象者は160万円という形に変わりました。ただし「160万円」がすべての人に当てはまるわけではなく、本業と副業を合算した所得水準によって受けられる控除額は変わります。年末調整の基礎控除申告書は副業所得の見積り精度がより重要になっているので、記入前に一度、副業の年間所得を整理しておくと安心です。
副業の所得区分や確定申告の要否について詳しく知りたい方は、以下の診断ツールもあわせてご利用ください。